初心者は積立投資から始めようって言われているが、積立投資するとどんな利点があるんだ?
「ドルコスト平均法」という言葉を聞いた事くらは、有るのでは無いでしょうか。
時間分散の考え方がわかれば積立投資の利点がわかりますよ。
資産運用と一言に言っても色々な手法があります。
積立投資の手法として代表的な2つの手法、「ドルコスト平均法」と「バリュー平均法」にて投資の時間分散の効果を、数字で見てみたいと思います。
1.ドルコスト平均法とは?
積立投資をして、長期投資をする際の最大の強みは「ドルコスト平均法」だとも言われています。
「ドルコスト平均法」とは値動きのある商品を購入し続けると、全体の購入単価を下げる事が出来る、というものです。
1-1.ドルコスト平均法で積立投資をしてみる
以下の様な価格変動が起きている相場を想定して考えて見ましょう。
- 毎月1,000円ずつ積立てる
- その時の市場価格で買えるだけ購入する
- 売却はしない
積立額 | 市場価格 | 購入口数 | 保有口数 | 金融商品価値 | 余剰資金 | 資産合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1月 | ¥1000 | ¥100 | 10口 | 10口 | ¥1000 | ¥0 | ¥1000 |
2月 | ¥1000 | ¥50 | 20口 | 30口 | ¥1500 | ¥0 | ¥1500 |
3月 | ¥1000 | ¥125 | 8口 | 38口 | ¥4750 | ¥0 | ¥4750 |
4月 | ¥1000 | ¥50 | 20口 | 58口 | ¥2900 | ¥0 | ¥2900 |
5月 | ¥1000 | ¥100 | 10口 | 68口 | ¥6800 | ¥0 | ¥6800 |
1月を見てみると、市場価格100円の為、1,000円分(10口)購入していますね。
2月を見てみると、市場価格が50円に値下がりしている為、1,000円分(20口)購入出来ています。
3月を見てみると、市場価格が125円に高騰している為、1,000円分(8口)購入と数は少なくなっています。
代わりに、市場価格の高騰を受けて38口×125円=4,750円と資産が成長しているのがわかります。
上記表の5ヶ月間で見ると、積立額は1,000円×5ヶ月=5,000円ですが、資産としては6,800円まで育っており、積立投資の結果+1,800円の効果が出ている事がわかります。
1-2.つまりドルコスト平均法の効果とは
この様に、粛々と積立額分、商品を買い続けるだけで、安い時には多く購入し、高い時には少なく購入するという事が、自動的に行うことが出来る為、長期投資に向いていると言われています。
察しのいい方はお気づきかと思いますが、ドルコスト平均法は高値の時も購入を続ける事が前提となってしまう為、高値掴みをしてしまう事も許容する必要があります。
しかし、これは結果論であり、未来の相場は誰もわかりません。。。
今は高値だから購入を控えたとしても、来月には更に高値を更新する事になり、結局、先月買っておけば良かったという状況もありえるのです。
そういった、気持ちを排除して、機械的に購入し続けるのが「ドルコスト平均法」なのです。
2.あわせてバリュー平均法も学んで見よう
「ドルコスト平均法のメリットはわかった。でも少しでも安く購入したいんだよー!」
わかります。安いなら安いほど嬉しい気持ち、痛いほどわかります。。。
そこで、別の積立投資法としてバリュー平均法をあわせてご紹介します。
基準となる市場価格を基準価格として、値上がっていれば売り、値下がっていれば追加購入するという考え方の積立方法が「バリュー平均法」です。
2-1.バリュー平均法で積立投資をしてみる
「ドルコスト平均法」と同じ価格変動が起きている相場を想定して考えて見ましょう。
- 毎月1,000円ずつ積立てる
- 基準化価格を、市場価格100円とする
(わかりやすい様に金融商品価格が積立額分をキープする様に売買する) - 積立額分を上回る場合は売却、下回る場合は購入を実施する
積立額 | 市場価格 | 購入口数 | 保有口数 | 金融商品価値 | 余剰資金 | 資産合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1月 | ¥1000 | ¥100 | 10口 | 10口 | ¥1000 | ¥0 | ¥1000 |
2月 | ¥1000 | ¥50 | 30口 | 40口 | ¥2000 | ¥-500 | ¥1500 |
3月 | ¥1000 | ¥125 | -16口 | 24口 | ¥3000 | ¥2500 | ¥5500 |
4月 | ¥1000 | ¥50 | 56口 | 80口 | ¥4000 | ¥700 | ¥4700 |
5月 | ¥1000 | ¥100 | -30口 | 50口 | ¥5000 | ¥4700 | ¥9700 |
1月を見てみると、市場価格100円の為、1,000円分(10口)購入しています。
2月を見てみると、金融商品価格を積立額まで保持する為、積立予算を超えて1,500円分(30口)購入しています。
結果、余剰資金として-500円余計に資金投入しています。
3月を見てみると、金融商品価格を積立額まで下げる為、2,000円分(16口)売却しています。
結果、余剰資金として積立1,000円+余剰資金-500円+売却益2,000円=2,500円となっています。
上記表の5ヶ月間で見ると、積立額は1,000円×5ヶ月=5,000円ですが、資産としては余剰資金と合計して9,700円まで育っており、積立投資の結果+4,700円の効果が出ている事がわかります。
2-2.つまりバリュー平均法の効果とは
この様に、日々の売買を基準価格に基づいて調整するという手間が発生しますが、効果を最大化する事が出来る為、これも長期投資に向いている手法ではあります。
今回のシミュレーションでは、5ヶ月後の運用成績は・・・
- ドルコスト平均法 → 6,800円
- バリュー平均法 → 9,700円
とバリュー平均法の方が2,900円のプラス結果となりました。
3.結局、ドルコスト平均法、バリュー平均法どっちが良いの?
「結果をみたら、バリュー平均法を使った方が良いじゃない!」
と思われるかも知れませんが、これもメリットだけでは無いのです。。。
どちらが良いとは一概にいえないが答えになります。
それぞれにメリット、デメリットが有るためです。
今回のシミュレーション結果、5月の実績を元に見てみましょう。
積立額 | 市場価格 | 購入口数 | 保有口数 | 金融商品価値 | 余剰資金 | 資産合計 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ドルコスト平均法 | 5月 | 1000 | 100 | 10 | 68 | 6800 | 0 | 6800 |
バリュー平均法 | 5月 | 1000 | 100 | -30 | 50 | 5000 | 4700 | 9700 |
3-1.ドルコスト平均法メリット
- 市場価格が高騰したら利益が大きい
金融商品を購入し続けるので、「ドルコスト平均法」の方が「バリュー平均法」より保有口数が多くなる為、市場価格が高騰すれば利益も大きくなる。 - 手間がいらない
常に同じ金額で買えるだけ商品を購入するので、市場価格の変動に応じた売買を考える必要はありません。
3-2.ドルコスト平均法デメリット
- 市場価格が下落したら損失が大きい
金融商品を購入し続けるので、「ドルコスト平均法」の方が「バリュー平均法」より保有口数が多くなる為、市場価格が下落すれば損失も大きくなる。 - 余剰資金(キャッシュフロー)は増えない
全ての資産を金融商品で保持する事になる為、市場価格が上がっても現金収入は発生しません。
3-3.バリュー平均法メリット
- 余剰資金(キャッシュフロー)が発生する
市場価格が上がれば、売却する事になる為、現金として保持出来ます。 - 市場状況次第では運用成績は「ドルコスト平均法」より高くなる可能性が高い
5ヶ月後の資産合計を見ると分かるように、同じ状況であれば、「バリュー平均法」の方が2,900円資産合計が多くなる可能性が高い
3-4.バリュー平均法デメリット
- 市場価格が高騰しても利益は少ない
市場価格が上がった時に即時売却を繰り返してしまうので、保有口数が少なくなってしまい、市場価格が高騰した場合、「ドルコスト平均法」より運用益が少なくなります。 - 市場状況次第では追加資金投入が必要
市場価格が大きく下がった際は、追加資金を投入して一定の積立額まで買い増す手法なので、下落局面では常に買い増し続ける資金力が必要となります。
まとめ
この様に、それぞれのメリットデメリットがある「ドルコスト平均法」と「バリュー平均法」ですが、個人的には以下の様な使い分けになるのかなぁと思いました。
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